新年のご挨拶に大切な方へ送る年賀状。物心ついた時にはやり取りをしていた方も多いはず。日頃の気持ちを伝えたり、近況報告を写真で表現したりと工夫を凝らして投函します。相手から思いのこもった年賀状をいただいたときの嬉しさは格別です。
年賀状の文化が始まったとされるのは平安時代から。藤原明衡(ふじわらのあきひら)という学者がまとめた手紙の文例集の中に、年始の挨拶の文例が残されています。この頃からお世話になった方や親族に新年の挨拶をして回る『年始回り』という習慣が広まったようです。挨拶に手紙を使用したのは一部の貴族で、直接会えないような遠方の方へ賀状として送っていたようです。
江戸時代に入ると、今の郵便の先駆けとなる「飛脚(ひきゃく)」が充実し、庶民が手紙で挨拶を済ませることも増えていきます。
郵便事業が始まったのは明治3年で、翌年に全国一律料金の制度が確立され、同時に郵便局やポストが全国に設置されていきます。
明治20年頃は、年始の挨拶をハガキで出すことが年中行事の一つとして日本国民に広がっていましたが、昭和になり戦争が激しくなると自粛ムードのためが実質的に中止に・・。終戦を迎え復興と共に昭和24年にお年玉年賀状として復活します。
当たり賞品の第一回特等はミシン。その後は洗濯機、電子レンジ、ビデオレコーダー、液晶テレビなど。そして、令和五年は現金30万円か電子マネー31万円など。品物には世相が反映されています。
近年は多様化よって年賀の方法に選択肢があるようですが、忙しい年末に自分と縁のある人を思いながら年賀状を用意するのは特別な気持ちになります。
諸説ありますが、人が一生のうち出会う人数として、次の数字が広くいわれています。
人生で何らかの接点を持つ人が、30,000人。学校、仕事などを通じて近い関係になるのが、3,000人。親しい会話ができる関係が、300人。友達と呼べる関係が、30人。親友と呼べるのが、3人。
令和4年11月15日に世界人口が、8,000,000,000(80億)人に達したと国連が発表しましたが、一生の中で出会う人はほんの一握り。仲良くなった人がいたら、それは奇跡のような確率で出会った人ということです。
ことわざに、『袖触れ合うも多生の縁』とあります。「多生の縁」とは、何度もこの世に生まれ変わって多くの生を受け、やっとこの世に縁を結ぶことです。「他生」の用法では、今生から考えて過去や未来の生縁となりますが、どちらも深い縁の結びを指していて「多少」どころではありません。
さて、どんなメッセージや写真を添えて年賀状を送ろうか。あの人は元気でやっているだろうか。謹賀新年。「あなたに出会えて良かった。」と一年の思いを伝えよう。
参考、年賀状博物館web、仏教ことわざ辞典
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