『干し柿』 ~渋柿も一皮むけば甘くなる~

『干し柿』~渋柿も一皮むけば甘くなる~

初冬を彩る風物詩として、軒下に吊るされただいだい色の柿が、太陽の光を浴びて輝いています。

 

渋柿一つ一つの皮をむいて、紐で繋いだら、殺菌するために湯通しをします。

竹竿に等間隔で吊るしていきますが、柿の水分をきれいに拭き取るのがポイントです。

風通しの良く日当たりの良い場所で二週間ほど干せば完成です。

 

「干し柿」の歴史は古く、平安時代中期に編纂へんさんされた律令りつりょうの施行しこう細則さいそく『延喜式えんぎしき』には、「柿百株」を栽培したという内容や、「干柿子二連」「熟柿子四顆」などが神殿に供えられたという記述があり、すでに渋柿が栽培、加工され、食べられていたことがわかっています。

 

昔からお正月には、「鏡餅」の上に、みかんと一緒に干し柿が添えられています。

縁起の良い語呂合わせで、「柿」を「嘉来」といって「幸せがやって来る」とされ、また、柿木は長寿の木であるから縁起が良い。さらには、干し柿に大きな種が入っていることから「子宝に恵まれる」とされています。

 

毎年一月に通称「柿寺」美濃加茂市蜂屋の瑞林寺で「柿茶会」が開催されています。ここでお茶と共に出される干し柿の「堂上蜂屋柿」は果実の大きさが特徴でこの地の名産品です。

栽培過程で「摘蕾・摘果」の工程があり、一本の枝に一つの果実をつけることで大きくしています。他にも様々な伝統技法が施されている手間暇をかけた逸品です。

 

そもそも干し柿の原料に「渋柿」が選ばれる理由はなんでしょうか。

 

甘柿より糖度が高いからだそうです。

 

しかし、子供の時に干し柿にする前の生柿をかじったことがありますが、渋くて吐き出したことがありました。

渋柿には「タンニン」という、苦味や渋み成分が含まれています。完熟前のブドウなどでも言われ、ワインを作るにも重要な役割となっています。抗酸化作用が高いなど長所がありますが、口の中で溶けてしまうと強い渋みを感じるのが欠点です。

 

昔の人はこの渋み対策として「皮をむいて干す」という方法を発見し、渋抜きをしました。柿の皮をむくことで乾燥させやすくなり、タンニンが不溶性に変化して元々の甘み成分だけを感じられるようになったと言います。

 

白隠禅師は「衆生本来仏なり」と説きます。

もともとの渋柿に甘みがあるように、人は仏として生まれて生まれながらに仏性が備わっていると説きます。

「水と氷の如くにて、水を離れて氷なく、衆生の他に仏なし」干し柿にしたら渋柿でも渋みがそのまま甘くなり、渋みなくして甘さのもとは出てきません。一皮むいてこそ甘くなるのでしょう。

 

新春を迎えますが寒さは一段と厳しくなる時期です。「冬来たりなば春遠からじ」とも言いますので、春に向けて英気を養ないながら、今を大切に過ごしていきましょう。

 

 

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