
「やさしい人生会議シート」のご紹介
― おかげさまで生きる、これからの私 ―
ご法事の席で、ふと「いのち」について思いを巡らせることがあります。故人を偲びながら、これまでの歩みを振り返り、そしてこれからを考える——そのような時間は、日常の中ではなかなか得がたいものです。
仏教では、すべてのものは移ろいゆくと説かれます。これを「無常」と申します。私たちの身体も、環境も、関係も、同じままでとどまることはありません。しかし同時に、私たちは決して一人で生きているのではなく、多くのご縁に支えられて今ここにあります。このあり方を「縁起」といいます。
日々の暮らしの中で忘れがちなことですが、いのちは「おかげさま」の中にあります。家族や友人、地域の方々、そしてこれまで出会ってきた多くの人々の支えがあって、今の私があるのです。
こうした仏教のまなざしに立つとき、「これからをどう生きたいか」を見つめることは、決して特別なことではなく、ごく自然な営みといえるでしょう。
近年、「人生会議」という言葉が聞かれるようになりました。これは、自分がどのように生きたいか、どのような医療やケアを望むかを、元気なうちから家族などと話し合っておく取り組みです。いざというとき、自分の思いを伝えられなくなった場合でも、その人らしい選択ができるようにするためのものです。
とはいえ、「いきなり話し合うのは少し気が重い」と感じる方も少なくありません。そこで当寺では、ご法事の後に「やさしい人生会議シート」をお配りしています。
このシートは、何かを決めるためのものではなく、「今の気持ち」をやさしく見つめるためのものです。たとえば、「好きなこと」「大切にしていること」「これからの願い」など、日々の延長にある問いから始まります。そして、医療や看取りについても、「迷っているならそのままでよい」としながら、少しずつ思いを言葉にできるよう工夫されています。
特に最後の欄には、「家族への一言」や「話して気づいたこと」を記すスペースがあります。立派な言葉でなくてもかまいません。短い一言でも、その人の思いは十分に伝わるものです。
このシートは、すべてを書き切る必要はありません。一つでも、あるいは家族で少し話すだけでも、それはかけがえのない時間となります。
なお、この「やさしい人生会議シート」は、インターネットからダウンロードできるよう準備を進めております。ご自宅でゆっくり書いていただくこともできますし、離れて暮らすご家族と共有することも可能です。詳細は当寺までお気軽にお尋ねください。
いのちは移ろいゆくものですが、その中で交わされた思いは、人から人へと受け継がれていきます。ご法事というご縁の中で、ほんのひとときでも、ご自身やご家族のこれからに思いを向けてみてはいかがでしょうか。
どうぞ、ご無理のないところから、今のお気持ちを大切になさってください。
ダウンロード「やさしい人生会議シート」
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