月を見上げる時代から、月に住む時代へ

米NASAが進める国際月探査「アルテミス計画」の一環で2032年までの月面基地建設計画を発表されました。

子どもの頃にアニメやSFの中で見た世界が、いよいよ現実になろうとしています。月に人が暮らし、そこを拠点に火星へ向かう時代が訪れるかもしれません。

こうした話題に触れるたび、技術の進歩に驚く一方で、人間の根本的な問いは変わらないようにも思います。

どれほど遠くへ行けるようになっても、「なぜ生きるのか」「幸せとは何か」「死とは何か」という問いは私たちの心に残り続けるのではないでしょうか。

むしろ月面から地球を眺めたとき、人はこれまで以上にその問いと向き合うのかもしれません。

夜空に浮かぶ青い地球を見れば、国境や民族の違いを超えた「人類」という存在を意識するはずです。

仏教は古くから、この世界だけがすべてではないという三千大千世界という広大な宇宙観を説いてきました。月面基地ができても、無常や縁起の教えが色あせることはありません。

月を見上げる時代から、月に住む時代へ。宇宙船は私たちを月まで運んでくれますが、自分自身の心を見つめる旅は、これからも人間自身が歩まなければならないものです。

いつの日か月面基地の窓辺で、青く輝く地球を眺めながら坐禅をする人が現れるかもしれないーー。

そんな光景を想像すると、未来へのロマンが広がります。